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立石おじさん お話の世界19「彼岸とヒーガン」

昔からな、嫁と姑というのは仲が悪いというのが、だいたい相場じゃったんじゃな。仲のえー、嫁と姑というのは、めったと出くわしたことがないな。ある時に、お嫁さんが「お母さん、もうすぐ、仏様を祀る彼岸がきますから、準備をせんといけんのじゃないでしょうかな」言ったら、姑が「何をいうか、彼岸じゃいやーへん、ヒーガンというんじゃ」「お母さん、ありゃー彼岸です」「なにをいうーか、ヒーガンじゃ」「彼岸ですよ」「ヒーガンじゃ」言い争いになったんじゃな。ところが、結論がつかん。「よし、あんたがそうゆーんじゃったら、あしたの朝、お寺に行って和尚さんにきいてみゅー、和尚さんじゃったら、ちゃんと知っとってじゃから」「あ、そうしましょー」ゆーことで、一応その場は、けりがついたんじゃ。さっそく、姑が自分の織った木綿の反物を一反もって、そうして、お寺に走ったんじゃな。「和尚さん、和尚さん、今度の仏様のおまつりは、ありゃーヒーガンと言いましたな」「うん、どうしたんな」「いやいや、彼岸かヒーガンかで、嫁と争いになりましてな、明日の朝、来ますんで、ありゃーヒーガンといいますな」「そうじゃ、そうじゃ、ヒーガンという」「じゃ、必ずあした来ましたら、ヒーガンゆーてつかーさい」「うん、そりゃーヒーガンにきまっとるからな」「はあーよろしゅうお願いします。こりゃーわたしが織った木綿ですから」「もうーそんなこたーせーでもえーのに、まあ、もらっとこー」言って和尚さんは、木綿を一反受け取られた。姑は喜んで帰ったんじゃ。ちょーど姑の姿が見えんもんじゃから、嫁は嫁で、自分の織った一反の木綿を小脇に抱えてお寺に行って「和尚さん、和尚さん、今度の仏様のおまつりは、あれは、彼岸でしたな」「うん、彼岸じゃけど」「あしたな、お母さんと一緒に参りますんで、必ず彼岸ゆーてくださいよ」「うん、そりゃー彼岸にきまっとるから彼岸言うぞ」「お願いします。こりゃ、わたしの気持ちですから」「もう、そんなことせーでもえーのに、ま、もろーとこ」「じゃ、和尚さん、よろしゅうお願いします」嫁も喜んで帰ったんじゃな。次の朝、もうご飯がすむと、「お母さん、お寺に行きましょう」「あっ、お寺に行こう」二人そろうて、お寺に行ったんじゃ。「和尚さん、おはようございます」「ありゃりゃ、おはよう、こりゃーどーしたんな、二人そろーて」「いやー、和尚さんに教えていただきとーてやって来たんです」「何をなら、」「いや、今度、仏様をおまつりするなー和尚さん、ありゃーヒーガンでしたな」「うん、そうじゃよ、ヒーガンじゃ」そうしたら嫁が「和尚さん、あれは、彼岸でしょ」「うん、彼岸じゃ」「和尚さん、ヒーガンでしょ」「うん、ヒーガンじゃ」「和尚さん、彼岸でしょ」「彼岸じゃ」そうしたら嫁と姑が声をそろーて「和尚さん、どっちなんですか、彼岸なんですかヒーガンなんですか」言ったら和尚さんが「まあ、二人で争い事はせんこっちゃ、前の三日がヒーガンで、あとの三日が彼岸、中の一日は、もめんがよいよい和尚のまるもうけじゃ」ゆーたんじゃって。

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  • 放送日:2013/02/14(木)
  • 担当者:中塚美佐子
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