KCTコミちゃん（倉敷ケーブルテレビ）

昔な、あるところに、お寺があってな。和尚さんと小僧さんがおったんじゃな。どこのお寺でもそうなんじゃけど、小僧さんの方が、なかなか利発でな、和尚さんがいつも、やりこめられる。和尚さん、「一度あの小僧をやっつけてやりたい」と考えとるんじゃけど、なかなか、そういう機会がないんじゃ。あるとき、「うん、いいことを思い出した。小僧、小僧、ちょっと来い。小僧、小僧、ここにな、白い布があるからこれを町にもっていってキツネの鳴き色に染めてこい」そう言ったんじゃ。小僧は、「はい」白い布を受け取って、キツネの鳴き色なんか聞いたことがないから、どんな色かと、思うて聞こうと思うたけど、聞いたら、「おまえそんなことも知らんのか」ということで、和尚さんい笑われる。そこで、「はい、わかりました」白い布を持って、町に出かけていったんじゃな。そうして、染め物屋さんにいって、「染め物屋さん、この白い布をキツネの鳴き色に染めてください」言ったら、染め物屋さんが「キツネの鳴き色？そんな色は聞いたことがない。ちゃんと和尚に聞いてこい」言われて、小僧は、しかたなしに、白い布を持って、帰ってきたんじゃな。帰ってきておったら、向こうの方から、腰のまがったおばあさんが、歩いてやってきた。「あっ、そうじゃ。年寄りいうのは、なんでもものを知っとるから、あのおばあさんに聞いたらええ」と思うて、小僧さんが「おばあさん、おばあさん、キツネの鳴き色いうたら、どねえな色」いうたら、腰のまがったおばあさんは、「ああ、そりゃあなあー」言うて教えてくれたんじゃな。小僧は、さっそく、そのおばあさんから教えてもろうた色を、染め物屋さんいって「染めてつかあさい」言うたら、「うん、わかった」白い布をあずかってくれたんじゃな。何色に染めてつかあさいと言うたでしょ。