現在、保存修理が行われている倉敷市連島町の宝島寺の仁王門で丹塗(にぬり)作業が始まりました。
室町時代中期の創建といわれる宝島寺の仁王門。
33年ぶりの保存修理の目的は、建物を後世に長く伝えるための塗装のやり替えです。去年の9月から始まった改修工事では、古くなった丹塗りを剥がし傷んだ柱や垂木(たるき)の修繕を行ってきました。
【インタビュー】島津漆彩色工房・平木康浩さん
「前鉋を使って建物についていた古い塗装を剥がしてきました。今回の塗装は、膠を使った丹塗りで牛の皮などを煮出した膠と顔料の鉛丹(えんたん)を混ぜ合わせたものを塗りつけていきます。膠は、保湿効果をもつゼラチン質を煮出しもので、潤いがなくなっていきた古い木材に膠を塗ることで長持ちさせることができます。丹塗りと朱塗りの違いは顔料の違いです。丹塗りの赤色は鉛によるもので、朱塗りは水銀によるものです。水銀が入った朱塗の顔料は高価であることから、赤く塗られた建物は鉛丹に少量の水銀朱を混ぜた丹塗りで、この丹塗りのことを朱塗りと言っているようです。塗装作業は、まず、下地に膠だけを数回塗りそのあとに、鉛丹を塗る工程に入り、鉛丹を何回か塗り重ねて完成させます。丹塗りに使われている鉛には微生物などを寄せ付けない殺菌効果があります。丹塗りの保存効果は20年サイクルと言われていますが20年の内でいかにきれいに劣化させていくかとういところが職人の腕のみせどころです。」
生まれ変わった仁王門の姿は3月31日に行われる御開帳法要で披露されます。
宝島寺の仁王門で丹塗作業始まる
取材日 2017年1月30日
宝島寺(倉敷市連島町矢柄)




