国内最大級の農業用水門として経産省の近代化産業遺産に認定されている倉敷市の「酒津樋門」を含む高梁川東西用水取配水施設が国の重要文化財に答申されました。
高梁川東西用水取配水施設は、明治時代の大水害から治水を目的とした高梁川改修工事の一環として建造されたものです。当時の最先端の土木技術を駆使して大正13年(1924)に完成した樋門は、現存する鉄筋コンクリート造樋門として貴重で、農業土木技術史上価値が高く、近代農業用水施設の中でも大正期の最大規模のものとして国の重要文化財に指定されます。国の重文に指定されるのは、3つの樋門と水利組合事務所一棟です。
◆酒津取水樋門は、川側には、樋門内への砂れきの侵入を防ぐコンクリート造りの堤があります。延長53メートルの通水部を有する鉄筋コンクリート造で通水部は門形の7連となっています。
◆南配水樋門は、倉敷用水、備前樋用水、南部用水、西部用水、西岸用水の5つの水路へ配水を調整する正面48・3メートル通水部4・2メートルの大規模な
鉄筋コンクリート造樋門です。15連からなるアーチ状の門には、花崗岩の切石が施されています。
◆北配水樋門は、八ヶ郷用水への配水量を調節する樋門で通水部延長3・4メートル6連からなる鉄筋コンクリート造です。南配水樋門と同じアーチ状の外観です。
◆高梁川東西用水組合事務所は、木造二階建で、寄棟造(よせむねづくり)、桟瓦葺(さんかわらぶき)、外装は左右対称で正面中央に切妻(きりづま)の飾(かざり)破風(はふ)が設けられています。また、昭和3年に事務所の東南側に建てられた記録文書や貴重品を納めるための文庫と、高梁川の河川改修工事について記した用水工事竣工記念石碑も含まれています。




