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立石おじさんお話の世界39話「みょうが宿」

昔な、ある村に、一軒の宿屋があってな。そこの亭主も、奥さんもたいそうけちんぼで、どうやったら、金がもうかるか、そのことばーを考えとったんじゃな。ある日、一人の旅人がその宿に「今晩ひとばん泊めてつかあさい」ゆーてやってきた。みたところが、身なりも立派で紳士じゃ、「立派な重そうなカバンをもっとる。こりゃーあのカバンの中に、いっぱい金がはいっとるぞ、あの金があれば、わしらも、一生楽に暮らすことができる。あの金をどうやって盗るかな」だんなと奥さんは、すぐにそんな事を考えたんじゃな。そのお客さんを部屋に案内して、二人で話をしたんじゃ。「そうじゃ、昔から、みょうがを食うたら、物忘れをすると言われとる。あの客にみょうがをようけーくわして、あのカバンを忘れさそう」ふたりで相談して、さっそく、その晩の料理を作ったんじゃ、奥さんが、裏の畑にいってみょうがをとってきて、みょうがご飯に、みょうがの汁、みょうがの煮つけに、みょうがのあえもの、みょうがの酢のものに、みょうが焼きと、みょうがづくめの料理を出したんじゃな。「あ、お客さん、田舎のもんですから、たいしたもなあございませんが、ちょうど、みょうがの旬ですので、みょうがを食べてください」ゆーて出したところが、その客が「いやーわしは、みょうがが大好きなんじゃ」ゆーて次から次に全部食べてしもうたんじゃ。「こりゃあーよかった」ふたりとも喜んどったんじゃな。次の朝もみょうがご飯に、みょうがの汁に、みょうがの煮つけというぐあいに、また、同じようにみょうがの料理をつくって「お客さん、みょうがが大好きだとおっしゃったんで、今朝もみょうがの料理をしました」ゆーて出したところが、その客は、みょうがをきれいに食べたんじゃな。そうして「やーきょうは、この宿でたいそうごちそうになって、お世話になった、ありがたかった、ありかがたかった、お世話になりました」ゆーて帰っていった。そのだんなと奥さん、「そりゃ、荷物を忘れとるぞ」ゆーことで、客が泊まった部屋にいってみたら、紙包がひとつ床の上に置いてある。「やった、やった、お金を包んだ紙包を忘れとるぞ」ふたりで紙包を開けてみたら、弁当を食べた空あはっとっただけじゃったんじゃ。「ありゃーお金を忘れずに、こねーなものだきしきゃおいてないがな。あーみょうがを食わしてたか、なんか忘れてくれる思うたのに、なんにも、忘れてない」ゆーたら、だんなが「いやいや、忘れとるぞ」「なにを忘れとる」「旅館の宿代をもらうのを忘れとる」ゆーたんじゃって。昔こっぷり。

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  • 放送日:2014/03/14(金)
  • 担当者:中塚美佐子
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