倉敷市児島味野の国指定重要文化財旧野崎家住宅では、4日から恒例のお雛様の展覧会が始まりました。
展示会場となった土蔵群のひとつ岡蔵には、江戸時代中期から明治時代の雛人形や雛道具など、約200点が展示されています。明治5年に岡山藩主の池田家から野﨑家へ贈られた「享保雛」は、江戸時代の享保年間に流行した大型雛です。高さは、約70センチで、女雛は冠まで入れると80センチほどになり、人形の大きさと保存状態の良さでは、全国でも例の少ない貴重な雛人形です。また、顔を下から見上げると微笑んで見える気品にあふれたお雛様でもあります。明治時代港町・鞆の浦などで多く見られた長袖雛は、別名「見栄っぱり雛」とも呼ばれます。豪華な冠をはじめ、人の目に触れる表側の装飾にこだわっているところが見栄っぱり雛と呼ばれる由縁だそうです。現代のお雛様の洋式に由来する古今雛は、京都の老舗人形店「丸平(まるひら)」の人形師大木平蔵が手掛けた作品です。内裏雛をはじめ右大臣、左大臣、三人官女など表情豊かな、美しい雛人形ぞろいです。押絵雛は、羽子板の飾りなどで知られる布細工の技法を用いて作られた雛人形です。厚紙に布を包んで綿で立体感を出した平面のお雛様です。人形の裏側の支え棒を利用して、立てかけたり、掛け軸にはめ込んで飾ったりします。そのほか、大礼服をきた明治天皇を模した変わり雛や、細かい細工が施された雛飾りや雛道具などが展示されています。野﨑家のお雛様展は、4月6日まで開かれています。なお、2月24日から3月3日までは、野﨑家別邸の「たい暇堂」で一般家庭から持ち寄ったお雛様などを展示するおひな同窓会が開かれます。




