KCTコミちゃん（倉敷ケーブルテレビ）

昔々な、ナメクジとムカデがばったり出会うてな、「やあ、ナメクジさん、久ぶりじゃな」「ムカデさん久しぶりじゃな。あったこーなったなあ。ちょうど、あったこーなって、旅をするのにえー気候じゃ。ひとつ旅でもせんか」「そりゃーえー旅をしよう。どこへするかな」「いやー今年は、伊勢の遷宮の年じゃ。お伊勢さんに参ったらどうかな」「いやー伊勢参りをしたことがないんじゃ。一度参りゃにゃーいけんと思うとったから伊勢参りしょう」「じゃーさっそくじゃ、明日の朝、伊勢参りすることにせんか。朝6時に、ここで待ち合わせをして、二人で出発することにしよう。これから帰って準備をせんといけん」そう言って、ムカデとナメクジは、別れたんじゃな。ムカデは、足が早いし、ナメクジは、足がのろい。ナメクジは、足がのろいもんじゃから、次の朝、もう6時よりだいぶ前に待ち合わせの場所にきてまちょーた。ところが、ムカデの方は、いっこうにこん。約束の時間の6時が来てもこん。過ぎて6時半が来ても、ムカデはやってこん。ナメクジはな、「こりゃームカデさんが、足が早いもんじゃから、待ちきれんようになって、とうに出発してしもうたかもわからん」思うて、ナメクジは、モングリ、モングリ、歩いていったんじゃな。岡山の宿に今日は泊まろうということにしとったもんじゃから、いつも泊まる岡山の宿に夕方着いて」、「ムカデさんは、来とるかな」言うたら、「いやいや、ムカデさんは、来られてないです」「おかしいな」、ナメクジは上がって、待ちょーたけどいっこうにムカデはこん。「こりゃ、ひょっとしたら、別の宿に泊まったんかな」思うて、ナメクジは思うとったんじゃな。次の朝、しようがないもんじゃから、ナメクジは、ムングリ、ムングリ、ムングリ、ムングリ歩いて行った。次の宿でも、ムカデにあわん。そうして、何日か何日か歩いていってお伊勢さんに参って、よう拝んで、「やーこれで、たくさんのおかげがいただけた」いうことで、また帰ってきたんじゃな。「やれやれ、えー旅ができた、一人の旅じゃったけど、お伊勢さんに参ることができた」と帰って、「そりゃそうと、ムカデはどうしとるかな。もう、とっくに帰っておるじゃろうな」と思うてムカデの家に行ってみたら、ムカデさんが一生懸命、ワラジを作っとる。「ムカデさん、伊勢参りからいつ帰ったんで、」「いや、わしゃ、まだ伊勢参りに出発してないんじゃ」「どうしたんで」「いあやいや、足がよーけーあるもんじゃから、、履いていくワラジを作っていま、持っていくワラジを作る最中なんじゃ。まだ、ワラジができるまでには、二三日かかるんじゃ」そい言ったんじゃって。昔こっぷり。