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立石おじさんお話の世界「ひとりは十能」

昔な、娘を嫁にやって、お父さんとお母さんがどうしとるかな思って心配しとった。ところが、休みになっても、親のところにやってこん。「どうしたんかな、今度は、しろみて休みじゃったのに、やってこん。祭りにもやってこん。どうしたんじゃろうかな。なんか問題でもおこっとんじゃねかな」親は心配して「そうじゃ、ひとつ、やってこいといことで、手紙を出しちゃろう」いうことで、手紙を出すことになったところが字が書けんから、重箱をスミ違いにして、そうしてその中に、こぬかをちょっと入れて、それでそれを風呂敷に包んで奉公人に「すまんけどな、この荷物をうちの娘のところに持っていってくれ」ゆーたところが、「はい、わかりました」奉公人が娘が嫁にいっとるところに行って、娘さんに「こりゃ、お父さん、お母さんからことずかりました」ゆーて渡したんじゃ。荷物をひらいてみたら、スミ違いの重箱が入っとる。中をあけてみたら、ほんのちょっとだけ、こぬかが入っとる。「あーあ、これは、『この重会わぬが、こぬか。ちょっとこぬか』こういう事じゃな。そうじゃ、休みの日にも行ってないから、心配しとるわい、ほんなら行ってやろう」と思うて、そうして、紙にな、絵を描いて、返事を奉公人にことずけたんじゃな。奉公人が帰ってきて、「おじょうさんから、手紙をことずかりました」親に見せたところが、絵にな、火がボンボン、ボンボン燃えとるのと鳥が一羽描いとる。それをみたお父さんとお母さんが「ありゃ、こりゃあ、嫁入り先で、ちゃんとしたものを食わせてもろてないんじゃろうか。焼き鳥が食いたい。火と鳥じゃから焼き鳥が食いたいと描いとるわい」「さっそく焼き鳥を作って持って持っていっちゃろう。奉公人すまんけどな、山に行ってキジの鳥を一羽捕まえてきてくれ」奉公人は、キジの鳥を一羽捕まえてきたが、お父さんとお母さんとして、それをきれいに焼いて、うまそうな焼き鳥ができた。「ほんなら、これを持って行っちゃってくれ。あ、わりーけどな」そうしたら、奉公人が。「いやいや、すぐにもって行ってきます」焼き鳥を包んでもっていこうとしたところが、カラン、コロン、カラン、コロン下駄の音をさせて、娘がやってきたんじゃ。「ありゃりゃ、おまえどうしたんなら、焼き鳥がほしいいうから、今、焼き鳥を作って、これからもって行こうとしたとこりじゃ。「わたしゃ、焼き鳥やこー欲しいやこー言わんでな」「でも。火と鳥が書いてあるから、焼き鳥じゃないんか」「じゃーないよ、『火と鳥じゃから、ひとりで行く』ゆーて書とったんじゃ」「いや、そりゃ、『一人でいく場合は、火取りは十能、ひとりでいく』と書くもんなんじゃ」言うたんじゃって、昔こっぷり。

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  • 放送日:2013/07/29(月)
  • 担当者:中塚美佐子
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