KCTコミちゃん（倉敷ケーブルテレビ）

昔な、仲の良い年寄りが三人、なんと時々会んじゃけど、「一回、ゆっくり落ち着いて話をしょうじゃねえかー」「今度の休みの日に、昼飯を一緒にして、ちょっとなごう話をせんか」言うことになったんじゃな。「そりゃえー、そうしょう、しょう」いうことに決まって、その日に集まることになった。その日の朝起きてみたら、初雪じゃ。それもけっこう積っとる。「わしらが、三人集まるゆたら、雪が積っとるわい」三人が、その集まる場所に行ったんじゃな。「いやー、今朝は珍しい雪が降ったな。初雪なのに積ったがな。まだ、昼飯を食べるには時間があるから、一つまあ話をしょう」言うんじゃけど、「なんなら、この初雪を題材にした、お互いに歌を作ってみんか」ゆたら一人のもんが、「そりゃあ、おもしれー、やろう」言うたんじゃけど、一人のもなあ、「いや、わしゃ歌を作ったことがない、もうそれじゃったら、ごめんこうむる」「まーそねんいわんと、ええがな。別に上手に作らんでもえんじゃ。遊びじゃが、なんでもええから作って遊ぼう」三人が歌を作ることになった。「ほんなら、だれから作るかな」「ほんならわしから作ろう。じゃあいくでー、『初雪や　二の字二の字の筆のあと　わが身をのせし下駄の歯のあと』」言うてうとうたんじゃ。「ようー、なかなかおもしれーなー、二の字二の字、ちょうど下駄の歯の跡は、二の字二の字を書いたようにみえるな、なかなかの上出来じゃな。じゃあ次は、ほんならわしからいこうかな『ちらほらと、雪に落ちたる梅の花　我が家に飼いし猫の足跡』　どうかな」「いやいや、ほんにそうじゃな。猫の足跡は、ほんに梅の花が落ちたようにみえる。これもなかなかうまいな。じゃあ、最後にあんた」「いやーわしは、さっきから歌やこー作らん言うたから出来ん」「まあ、そう言わずに、なんでもええからやってくれー」「もー恥ずかしいようだけど、ほんなら言うで、『雪の上に一文銭を見つけたり　ようよう見たら杖の跡なり』」「いや、いや、これが一番ええじゃないの。ほんに一文銭の跡のように見えるな。いあや、わしも、こないだな、札が落ちとった思うて、さっと拾うてようみたら木の葉じゃった。わしゃもう金に困っとるから、銭の歌しか歌えなんだ。まあ、おもしろかったよかったよかった」言うことで、それからみんな楽しんだんじゃって、昔こっぷり。