バロック音楽には、欠かせないチェンバロという楽器をご存じでしょうか?このチェンバロを作っている人が、中国四国地方ではただ一人、総社市にいます。総社に工房を構えるチェンバロ製作者難波 修さんをご紹介します。
16世紀から18世紀のヨーロッパで盛んに演奏された鍵盤楽器 チェンバロ。ハープに似た優雅な音色が特徴です。チェンバロは、バロック音楽に欠かせない楽器ですが、日本国内での作り手は、10人あまりと少なく、総社市の難波修さんは、中国四国地方でただ一人のチェンバロ製作者です。武蔵野音楽大学でオーボエの演奏を勉強をしていた難波さんは、西洋音楽を極めていくうちに、バロック音楽の和音の美しさに魅せられチェンバロという楽器を手がけるようになったそうです。チェンバロは、鍵盤を使って弦を小さなツメで弾いて音を発する楽器で正確には、鍵盤付撥弦楽器といいます。鍵を押し下げると片方の先に載っているジャックと呼ばれる薄板状の部品が持ち上がりジャックの側面に取り付けられた小さなツメが弦を下から上に弾いて音を出します。まるで、琴のように音を発するしくみは、強力に張った弦をハンマーでたたいて音を出すピアノとは、対照的な構造なのです。「音の響きが魅力・・・・」繊細で豊かな音色の要となる小さなツメは、プレクトラムと呼ばれ、鳥の羽の軸を削って作ります。精密さが求められる部品はもとより大型の木工機械を駆使して作る響板や側板などもすべて難波さん一人で手掛けます。一台のチェンバロが完成するまでに半年から一年以上も費やすそうです。複数の弦を弾くことで生まれる音の響き合いの美しさ。その音色を作り出すことこそが難波さんをチェンバロ作りへと立ち向かわせる要因のようです。




